廃墟と化した雑居ビルの一室、そこにはひとり詩集を読む男の姿があった。
 人間の進化系と呼ばれるオルフェノクの中でも上の上の存在、ラッキークローバーの一人、琢磨逸郎だ。
 そこにまた別の男が現れる。
「戦いの前に読書とは、随分余裕だな」
「ふっ、あなたがベルデですか。噂は聞いてます。あなたは策士としては中々ですが、戦闘は得意とは言えない。そんな相手に慎重になる必要はありません」
 琢磨はカイザドライバーを腰へと装着する。
 9・1・3・Enter!
「変身!」
 黄色のフォトンブラッドが琢磨の体を走り、銀の装甲を持つライダー、カイザへと姿を変えさせる。
「ふん、その油断が命取りになるぜ」
 高見沢はカメレオンの紋章が刻まれたデッキを手近にあった鏡にかざした。たちまちVバックルが腰に装着される。
「変身!」
 パチン!
 指を鳴らし、高見沢は仮面ライダーベルデへと姿を変えた。

カイザvsベルデ 〜introduction〜

 二人は変身を終えると互いに牽制し合い、相手の出方を窺っていた。
「どうしました、かかって来ないのですか?ならば……こちらから行きます!」
 カイザは腰に付けたカイザブレイガンに手をかける。
 それを見たベルデは素早く物陰に身を隠す。
「ふっ、いきなり逃げ出すとは仮面ライダーベルデの名が泣きますよ」
 バシュ!バシュ!バシュ!バシュ!
 カイザはベルデがいる方向へとカイザブレイガンの光弾を次々と撃ち込む。
「そんなとこに俺はいねぇぜ!」
『ファイナルベント』
 無機質な声が響くと共にいつの間に移動したのか、カイザの後ろからベルデが体を逆さにして、迫り来る。
「知ってますよ」
 カイザは素早く体を反転させ、地に寝かせた。
「何!」
 空を切ったベルデの体は天井にぶつからんばかりの勢いで空中へと浮く。
「くっ」
 ベルデは体勢を立て直そうと体をひねるがそれを見逃すカイザではなかった。
「遅いですよ」
『バーストモード』
 カイザは素早くカイザフォンをフォンブラスターに変え、カイザブレイガンと同時にベルデへ光弾を放つ。
「がっ!がっ!がっ!がっ!ぐっ!」
 数十発の銃弾を浴び、ようやくベルデの身が大地へと落ちる。
「はぁ、はぁ」
「折角の不意打ち、残念でしたね」
『Rady』
 カイザはカイザショットにミッションメモリーをセットする。
「では……止めといきますか」
『Exceed charge』
 カイザのグランインパクトがカイザに迫る。
『クリアーベント』
 拳が当たるよりも一瞬早く、透明になったベルデは攻撃をかわす。
「やれやれ、またかくれんぼですか?」
 苛立ったのか、カイザは壁にグランインパクトを打ち込む。たちまち壁に大穴が開いた。
「ふっ、まあ仕方ありません。あなたと私では実力が違いすぎます。これは模擬戦です。このまま尻尾を巻いて逃げるならそれもいいでしょう。……ただ、そんな不甲斐ない有様ではこれからの戦いにとても勝ち残れるとは思えませんがね」
 カイザは踵を返し、開けた大穴から外へ出ようとする。
「くぅ」
 ベルデは姿を消したまま、カイザの後を追おうと大穴に向かう。

 ピキィィン

「ごぉ……ぐがっぁ」
 その拳は見事にベルデを捉えていた。ベルデのクリアーベントの効果は切れ、次第にベルデの姿が明らかになっていく。
 胸に当たったその一撃はベルデのグリーンチェストにヒビを入れていた。
「これが本当の不意打ちというやつですよ」 
「こ、このガキィィィィィ」 
『ホールドベント』
「喰らえ!」
 バシィィン!バシィィン!バシィィン!
 バイオワインダーがカイザに命中する。しかし、カイザはたじろぐことなく、前へ前へと進んでいく。
「ふっ、カイザにはそのようなものは効きませんよ」
 カイザはベルデの間近に迫ると首を捉え、投げ飛ばした。そして、すかさずカイザブレイガンを構え、撃つ。

 バシュ!

「がはっ!」
 その一撃はひびの入ったグリーンチェストにピンポイントに当たり、ベルデの体を貫いた。
 ベルデの背中から血が噴き出す。
「終わりですね。なかなか楽しかったですよ。おかげで自分の力を確認することが出来ました。……そのお礼といっては何ですがあなたの最強の技、コピーベントを使わせてあげましょう。運が良ければ私を倒せるかも知れませんよ」
『Rady』
 カイザはミッションメモリーをカイザブレイガンへと差し込む。するとたちまち光り輝く黄色の刃が伸びる。
「ふふっ、さあどうぞ」
「小癪な」
『アドベント』
 アドベントカードにより呼び出されたバイオグリーザの舌がカイザの体に絡みつく。
「それなら遠慮なく使わせてもらうぜ!」
 ベルデはデッキからコピーベントのカードを引き抜く。
「ふっ、ふはははは」
「何がおかしい」
「ふふっ、あなたの弱さを笑っているのですよ。わざわざ下僕に捕縛させないと必殺技すら使えないとは、これでは策士というよりは臆病者と言った方が正しい。そんな雑魚はもう消えていただいて結構ですよ」
 ババババババババババババ
 突如、ベルデの体を無数の弾丸が貫く。
「なっ!何!?」
 ベルデが銃弾の飛んできた方向に視線向ける。大穴の向こうには黒い大きな影があった。
 多数の砲門を両の腕に持つ禍々しい姿をしたそれ。
 元はバイクながら変形したその姿は最早バイクとは言えない。ただ相手を潰すための兵器と呼ぶに相応しいそれ。
 カイザのバイク、サイドバッシャー・バトルモード。
「私の下僕ですよ。あなたのこの汚らしい怪物と違ってね!」
 カイザは力を込め、バイオグリーザの舌を引きちぎる。そして、バイオグリーザを掴むとベルデに向かって投げた。
「下僕共々、死になさい」
 サイドバッシャーの左手から多数のミサイルが放たれる。
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 ミサイルが命中し、断末魔の叫びと共にベルデとバイオグリーザの体はたちまち爆炎に包まれた。
「所詮、あなたは私の掌で踊っていたに過ぎないということですよ」

 ※

 キィィィィィン
「見事な戦いぶりだったな」
「神崎士郎ですか。ふっ、あなたが作った仮面ライダーは大したことないですね。模擬戦ということでしたが止めを刺させてもらいましたよ」
「問題はない。後ろを見てみろ」
 促された琢磨は後ろを振り向く。
「あ、あなたは!?」
「ふん、まあそういうこったな」
 そこに立っていたのは不敵な笑みを浮かべた高見沢逸郎だった。

勝者:仮面ライダーカイザ
決まり手:サイドバッシャー・バトルモード


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